海を見てる

初恋みたいなこの胸の高鳴り

宝物よ

忘れたくない

ねえずっと


失う痛みをこの胸が知るたび、怖くなってた、好きになる事。

三十六歳。

三十歳よりも四十歳に近い年齢。「彼氏いるんですか?」ではなく、「結婚されてるんですか?」と聞かれる年齢。周りの友達からたまに来る連絡と言えば、出産の報告ばかり。だからいつからかLINEが怖くなっていた。普段からそんなに頻繁に連絡を取り合う人なんていないからたまにLINEの通知が来ると、その内容は友達の結婚だったり、出産の報告ばかり。その度にみんなが先に進んでいるんだなと実感して落ち込んでいた。

大人になると友達に会う機会はガクンと減る。右肩下がりとか言うレベルではなく、書いて字の如く「ガクン」と減る(字を書く必要があったかはさておいて)。それはもう高校の頃の自分が聞いたら、きっとビックリしてしまうほどに。

だから大人になってもたまにわたしとご飯に行ってくれる友達はとても有り難いし、大切な存在だ。瞳はその中の貴重な一人だ。高校の同級生で同じ田舎、新潟から大学進学を機に上京してきた。大学こそ違ったが、東京でひとり寂しい夜を過ごす事がなかったのは一緒に支えてくれた瞳のおかげだ。お互い近くない家を行き来して、支え合った。卒業旅行に二人でパリに行ったり、恋が成就すれば泣いて喜び合って、恋が終われば泣いて悲しみ合った。学生時代から何も変わらない、なんでも話せる仲だった。

「なんか仁美雰囲気変わった?」

「男でしょ?彼氏?」

瞳の急な質問に思わず言葉が詰まる。

「ほらー、図星だー。耳たぶ真っ赤だよー。昔から仁美は恋するとわかりやすく可愛くなるもんねー」

この歳になると人から可愛いなんて言われる事はめっきりなくなる。それこそわかりやすく下心全開でくる居酒屋にいるおじさん達からは言われる事もあるけれど、純度百パーセントの「可愛い」なんて久々に言われた。

「で、彼氏かはわからないけど、好きな人がいるんでしょ?どんな人なの?年上?」

瞳にここまで見破られてるんだからしょうがない。わたしは覚悟を決めた。

「う、うん。実は好きな人がいるの」

「そんなのは仁美の耳たぶ見てればわかるってー!で、どんな人なの?」

「職場の男の子でね・・・」

「げ!もしかしてけっこう年下?」

「う、うん。二十六歳だから十個下かな」

その瞬間瞳は一気に顔が暗くなり、エスプレッソを一口飲むと意を決したようにわたしの耳たぶではなく、目を見た。

「その男の子は瞳の事好きなの?」

「え?そんなのわからないよ。でもなんとなくだけど恋愛対象としては見てない気がするな」

瞳は残りの一口サイズのチーズケーキと残りのエスプレッソを一気に飲み干し、少し強めに言った。

「年下はやめときなよ。向こうからきてるならまだしも。瞳が年上だから気を遣われてるのに優しくされてると勘違いして年下男子にハマっちゃうアラフォーたくさんいるみたいだよ」

「いやでも新発田君の優しさはそういう感じじゃないというか」

思わずフォローをしてしまう自分がいた。その時彼をフォローしていたのか、自分自身をフォローしていたのか。

「ごめんごめん。でも二十六歳の彼からしたら私達なんて立派なおばさんだよ。おばさん。この歳で年下男子と恋愛するなら最後に自分が相当傷つく覚悟がないと厳しいんじゃない?ねえ・・・」

瞳がわたしに何を言おうとしてるのかはわかっていた。

わたしは七年前結婚寸前まで話が進んでいた男性がいた。彼は会社の取引先の担当者で、何度か仕事を一緒にしていくうちに交際に発展し、付き合って二年目の記念日にプロポーズされた。彼の事はもちろん好きだったけれど、一つ結婚するにあたって気掛かりだった事が彼の両親が新興宗教の信者だったという事。もちろん人間誰にでも信仰の自由があるから、彼の両親が何を信じているかは自由だ。ただ結婚の挨拶に行った時、一緒に十八時のお祈りをさせられたり、帰り際に電話帳ぐらいの分厚い聖書のようなモノを渡されたり、挙げ句の果てにはわたしの実家にまでその冊子と謎の像が送られてきた時はかなり引いてしまった。そして両親からは結婚を反対され、なんとなく彼とも気まずくなって、そのまま結婚は流れたし、彼とも別れてしまった。わたしは彼が大好きだったし、結婚もしたかった。ただいざ結婚となるとそれは二人の話ではなくなる。「家族」がくっつくというのはそんな簡単な事ではないんだ。頭ではわかっているけれどそれからわたしは心にぽっかりと大きな穴が開くどころか、心がどこかに消えていってしまったようだった。

だから人を好きになったのはそれ以来の事。

「でもなんか良かったね!仁美このまま一生恋愛できないんじゃないかって心配してたんだから!笑」

瞳が笑い話に変えようとしてくれていた。瞳はもう二度とわたしに辛い恋愛をして傷つかないでほしいという優しさから、新発田君を暗に諦めろと言っている気がして、余計にそれがちょっとだけ悲しかった。

「あ、ごめん!もうこんな時間だ。そろそろ幼稚園に迎えに行かなきゃ!」

「今日はありがとうね。久しぶりに話せて楽しかったよ」

「こちらこそ!また恋バナ聞かせてねー」

「あ、ごめん!もうこんな時間だ!」なんて漫画でしか聞かないセリフだと思っていたけれど、漫画みたいに人生がうまくいっている瞳が羨ましかった。気の合う友達とは何時間一緒にいても苦痛じゃない。自分が高校生の頃に戻ったような気にさえなる。我に返れば、二人共三十台後半で、すっかり違う道を歩いているのに。

稲中さん、明後日の日曜日飲みに行きませんか」

その日曜日がもう明日に迫っている。


仁美が勤めているのはアパレルメーカー。そしてそのアパレルメーカーは東京の千駄ヶ谷にある。

そこに突如彼が入社してきたのは、今年の春だった。

「今日からお世話になります!新発田です!よろしくお願いします!」

イマドキの若者らしからぬハキハキした自己紹介、というのが第三印象。

随分背が高いな、というのが第二印象。

少女漫画に出てきそうなイケメンだな、というのが第一印象。

よくアパレル業界は不況だ、不況だと言われているが本当に不況だ。売上は年々下がる一方だし、それに比例するように採用人数も年々減っていて最近では新卒すら確保できなくなっている。そんな逆風の中で新発田君は会社に入社してきた。若い人なんて久しぶりだから部長達も扱いに困っているんだろう。

新発田君、身長はいくつあるの?」

「身長は一七六です。けっこう高く見られるんですけど、実際はそんな高くはないんですよね」

おそらく彼は生まれてから一万回はされてるんじゃないかという質問にも笑顔で答えていた。老若男女誰からも好かれそうなその笑顔はいつの間にか社内の雰囲気を明るくしていた。今日中にまた誰かに一万一回目の同じ質問をされる事だろう。ドリカムの歌のように、きっとこれから彼は何度も同じ質問をされていくんだろう、それでも彼は変わらずにあの素敵な笑顔で答えるんだろうなと思った。

席はわたしの隣になった。

稲中です。よろしくお願いします」

新発田です。よろしくお願いします。失礼ですけど、イナカさんってどんな漢字ですか?まさか、ド田舎とかで使われる田舎じゃないですよね?」

「違うよ、田んぼの稲に、大中小の中で、『稲中』」

「え!って事はもしかして」

「卓球部じゃないよ」

「え、あ、やっぱりそうですよね。でももったいないなー。その名字なら絶対卓球部に入るべきですよ」

「もうそのくだり人生で一万回ぐらいやってきてるんだけど」

「じゃあ僕で一万一回目ですか?ドリカム状態ですね!」

「バカにしてるでしょ?笑」

「してないですって!でもその名字珍しいですね。出身はどちらなんですか?きっと都内ではないですよね」

「実家は新潟だよ。新潟でも同じ名字は親戚ぐらいしかいなかったけどなー。あ、今どうせイナカだけにやっぱりド田舎に住んでるんだなって思ったんでしょ?」

「いや、ど田舎ってよりもTHE田舎っすね(笑)」

わたしは気がつくと久しぶりに社内で大きな声で笑っていた。彼の人懐っこくて、クシャッと笑うその可愛らしい笑顔は、失礼さを瞬く間に打ち消していた。


その日のお昼休み。みんなが一斉にランチに向かう中、新発田君だけが一人残ってモジモジしていた。

「どうしたの?ランチ行かないの?みんな行ったよ。お弁当あるならトイレの横にある休憩所で食べられるよ」

そう教えると彼は恥ずかしそうに、

「すいません、財布を忘れてしまって。実際に財布を忘れると全然愉快じゃないんですね(笑)」

「そんなサザエさんみたいな忘れ物する人初めて見たよ(笑)」

そんなサザエさんみたいなミスをする彼とわたしはランチに出掛け、それ以来毎回ランチは新発田君と出掛けるようになった。

稲中もついに独身卒業だな」

なんていう周りの冷やかしを華麗に左から右に受け流しながらもちゃっかりお昼休み前に化粧を直す習慣も出来始めた。彼とはランチの間色んな話をした。

「何でうちの会社に入ったの?」

「自分で服を作ってみたかったので!早く中国とかバングラデシュの工場に行って、自分で服を作りたいんです。色々探してみたけどこの会社が一番早くそのチャンスをくれそうだったので」

「え、て事はしばらくしたら中国とかバングラデシュに行くの?」

「まあそうなりますね。とはいっても随分先になるとは思いますけどね」

何となくずっとわたしの席の隣で仕事をしていると思っていた彼からそんな事を聞かされると急に自分の胸が落ち着かなくなる。

彼は本当に年下なのかと疑いたくなるぐらいしっかりと自分の将来のビジョンが見えている。自分が彼と同じぐらいの時に、しっかりとビジョンが見えていれば今頃幸せな結婚生活でも送っていれたんだろうか。


彼はスポンジのように何でも吸収してすごい勢いで仕事を理解していった。自分が疑問だと思った事はすぐにわたしに質問をして、メモを怠らなかった。おそらく頭の回転が早いんだろう。ある程度の仕事を理解した彼は、本質まで見抜いたようですぐに自分なりに効率の良いやり方に切り替えていた。どんなささやかな事でも教えてあげると、新発田君は丁寧にお礼を言う。その真摯さに仁美は胸が打たれた。こんなわたしでも少女漫画のイケメンキャラみたいな新発田君の役に立っている。そのことが無性に嬉しかった。


ある時のランチで新発田君がわたしに聞いてきた。

稲中さんはどうしてこの会社に入社したんですか?」

新発田君の急な質問に思わず会話が不自然に途切れる。わたしが新発田君ぐらいの年齢の時はおそらく何の抵抗もなく答えられただろうけど、今は答えられない。

「あれ、なんか僕変なこと聞きました?なんか稲中さん耳たぶ真っ赤ですよ?でもやっぱり夢とかあって入社したんですよね?どんな夢だったんですか?」

彼は純度百パーセントの好奇心で聞いてくる。そしてこの空気を破ろうとわたしは覚悟を決めた。

「パリコレに出したいの・・・」

言ってすぐに後悔した。何でこんな恥ずかしい事を十個も下の男の子に話しているんだろう。こんなおばさんが小学生みたいな夢を言ってどうするんだ。

「へえ!素敵な夢ですね!稲中さんならイケるんじゃないですか?私服のセンスだってお洒落ですし。それなら将来稲中さんがデザインした服を僕が作りますよ。それでパリに挑みましょう!僕もそれまで頑張らなきゃですね!」

自分の夢を応援してくれる人がいるなんて思わなかった。自分のどうしようもなく大きな夢を笑わないで聞いてくれる人がいるなんて思わなかった。「そんなの出来ないよ」って言われない事が初めてだった。

「え、笑わないの?」

「え、今のボケなんですか?だとしたらおもしろくないですね(笑)」

「何の才能も無いわたしがパリコレに服を出したいって言ってるんだよ、そんなの無理じゃん」

稲中さんは自分の夢に対してわざわざ疑いを持ってるんですか?自分が真剣に考えてやりたいと思ったんなら別にいいじゃないですか、そのまま追いかければ。なんか人の夢をいちいちバカにするような人がいますけど、そんなの気にしたらダメですよ。そう言う人達は結局自分の夢が叶わなくて、自分の仲間みたいなのを探してるだけですから。バカにバカにされたっていいじゃないですか。僕は稲中さんの夢、応援しますよ。あっ、そういえばそういう夢って『文字』にすると叶いやすくなるらしいですよ。理由はよくわからないですけど。忘れないうちに僕も手帳に書いておこうっと」


それから仁美の気持ちは大きく走り始めた。一度走り出したらその気持ちは止まらなかった。

仕事の合間を縫ってもう一度服飾の専門学校にも通い始めた。就活の為の授業ではなく、自分の夢の為に。

仕事も今まで以上に一生懸命こなし、毎日が充実していた。それでも仁美にとって一番充実していたのは、ランチの時間である事に変わりはなかった。

季節があっという間に駆け巡り、一年の仕事も落ち着き始めた二月の最終金曜日。

私は急いで専門学校に向かった為、会社に財布を忘れてきてしまった。いつかの新発田君みたいだなと思いながら会社に戻ると、部長が一人残っていた。

稲中?どうした、こんな時間に?」

「ちょっと忘れ物しちゃって、部長こそどうしたんですか?」

「いやちょっと社長に呼ばれてな、新発田君異動だってさ。四月からバングラデシュだって。若いうちから工場に行かせたいんだと」

部長がさらっと告げる。

「最初は三年ぐらいここにいる予定だったんだけどな。ま、確かにあの仕事の物覚えの良さなら若いうちに行かせたいんだろうな。本当寂しくなるな。稲中もランチが寂しくなるだろ?送別会とかについてはまた来週にでもみんなと相談だな。じゃ、お疲れさん」

部長がそう言い残して帰った瞬間胸が急に重たくなった。胸の中に急に鉛のようなものが流れてきて、胸いっぱいに広がった。

四月?

いつまでもわたしの隣にいると思っていた。本人だってこんな早い異動は想定してないはずだ。まだ日本にいたいはずだ。やり残した事だって。でも考えれば考えるほど、それはわたしの希望に過ぎなかった。

自分の財布の事なんてとっくに頭から消え去ってその場に立ち尽くしていると、また扉が開いた。部長が忘れ物をしたのかと思うと、そこにいたのは新発田君だった。

「あれ、稲中さん、先に帰ってませんでした?」

新発田君はいつもの調子で仁美に話しかける。新発田君はすでに内示を受けているのだろう。部長が知っていて、さすがに本人が知らない訳が無い。

「ちょっとね、財布を忘れちゃって」

今この瞬間に改めて彼の口から直接事実を告げられのが怖かったわたしはとっさに本来の用事を思い出した。

「え!・・・実は僕もです。ていうか稲中さん前に僕が財布忘れたら『そんなサザエさんみたいな忘れ物する人いるんだ』って言って馬鹿にしてきたのに、稲中さんも同じミスしてるじゃないですか!」

本当は面白いはずなのにわたしは口角すら上げられなかった。とにかく彼の口がこれ以上動かないで欲しいと願っている。

「ほんとだね、自分でも恥ずかしいよ」

彼の目を見てしまうと、何かが溢れてしまいそうになるからひたすら自分の鞄を見ながら答えると、

稲中さん、明後日の日曜日飲みに行きませんか」

思わず振り返ると、

「何か食べたい物、ありますか?」

と彼は言った。行きつけのお店に連れて行ってと、仁美はかすれるような声でリクエストを告げた。


瞳と別れたあと、カフェのすぐ横の噴水前のベンチに腰をおろす。

新発田君は、きっとわたしにさよならを言うために、飲みに誘ったのだろう。

親友にも応援されない恋。諦めなきゃいけないという事はわかってる。でも。

ふいに涙がこみ上げてきた。

部長から新発田君の異動を告げられた時から、いつもと変わらない様子で接する新発田君に対して平静を装って会話をしていた時から、親友に恋を応援されなかった時から、わたしはずっと我慢していたのだ。

結婚がダメになった時も確かに悲しかったはずなのに、今の方がずっと悲しい。

わたしはこんなにも新発田君が好きだったんだな。

三十六歳にもなって、こんな気持ちになるなんて思わなかった。恋愛で涙をこぼすなんて思わなかった。

わたしはふと自分の手帳を広げる。

六月二十一日。その日の手帳には控えな大きさで「パリコレ」とだけ書かれている。はじめて誰かに応援してもらった夢。はじめて誰かに背中を押してもらった夢。そしてその日の手帳には「Ms.OOJA 海を見てる 配信」と書かれている。

そういえば最近は仕事に、専門学校と忙しくて音楽もろくに聞いていなかった。気分転換にと、わたしはイヤフォンを耳にはめる。

 

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天気が良いからって 連れ出してくれたの

もう何年ぶりだろう

学生みたいに 電車を乗り継いで

ただ君に導かれるまま


失う痛みを この胸が知るたび

怖くなってた 好きになること でも 今


海を見てる 君を見てる

目と目が合わなくても

言葉はなくても

重ね合う渚のように

同じ気持ちでいれたら


夢を見てる 君と見てる

素直なままで二人

寄り添いあえたら

ずっと何年先までも

僕ら歩いていける

いつまでも どこまでも


スニーカーのままで波に走り出す 君

振り向いた笑顔 眩しいよ


初恋みたいな この胸の高鳴り

宝物よ 忘れたくない ねぇ ずっと


海を見てる 君を見てる

その名前を声に出し

つぶやいてみる

たったそれだけのことで

こんな満たされていくの


夢を見てる 君と見てる

永遠なんてきっと

どこにもないけど

好きな人が好きでいてくれる こんな奇跡を

待っていた


海を見てる 君を見てる

目と目が合わなくても

言葉はなくても

重ね合う渚のように

同じ気持ちでいれたら


夢を見てる 君と見てる

素直なままで二人

寄り添いあえたら

ずっと何年先までも

僕ら歩いていける

いつまでも どこまでも

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わたしは新発田君がいたから、綺麗になりたいって思えたし、夢を追いかけようと思えた。

恋する気持ちも思い出せた。

「一緒にバングラデシュに連れて行って」とも、「いつまでも待ってます」とも、迫るつもりなんて毛頭ない。

ただ「十ヶ月間、好きだった」と伝えるだけ。とにかく新発田君が素敵だったと伝えるだけ。それだけでいいんだ。

別にこの恋が実らなくたっていい。


わたしはただ、

夢を見てる、君と見てる